このミステリーがすごい!2017年版第1位の『涙香迷宮』を読んだ
昨年は個人的に本屋に行く機会が増え、これはポケモンGOでよく歩いていたせいもあるのですが、にも関わらず本を読む時間がうまく作れなかったので積読もたまってしまい、なので今年は2016年の積読を消化していこうと思っています。
というわけで早速、このミステリーがすごい!2017年版で国内ミステリー部門の第1位になったという『涙香迷宮』を読み終えました。
↑ 帯が派手w
この作品は暗号ミステリーで、ミステリーがすごいというより暗号がすごい。何種類かの暗号が出てくるのですがメインとなるのは「いろは歌」です。といっても「いろはにほへと・・・」のよく知られてる「いろは」ではなく、そのいろは歌と同様にひらがな48文字を1回ずつ使って作られた創作のいろは歌。
古文の場合、「いろはにほへと」が実際には「色はにほへど」となるように濁音も静音で表記するので、いろはの句は何通りかの解釈が可能になります。そのため、最終的な解については 100% そうであるとも言えない気もしたのですが、ある程度確からしいものなのでまぁいいのかな。
とはいえ、読んでる最中に「すごっ」「まじかっ」と声に出てしまうくらい、いろは歌がすごすぎて、顔を知らなくても著者のドヤ顔が浮かんできそうなレベルです。作中では、いろはを黒岩涙香という実在の人物が作ったものとされているのですが、実際は著者である竹本健治氏による創作。なので、いろは歌に対して登場人物たちが口にする数々の賛美の言葉は、すなわち作者自身の自画自賛ですよね。そうだとしても許せます。
ちなみに黒岩涙香という人物は、連珠すなわち五目並べの正式なルールを作り (初代永世名人でもある) 、競技カルタのルールを考案、新聞を発行し紙面上で宝探しを実施したこともあるそうで、相当にゲームやパズルを好み、頭がキレる人物だったようです。
涙香迷宮の暗号作りは相当めんどくさそうだし、著者以外にできる人いないんじゃないかな。過去にそういう人物がいたとしたらそれが黒岩涙香なのは間違いなく、フィクションのようでノンフィクションであるかのような暗号でした。
涙香迷宮 (竹本 健治)
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