F.Ko-Jiの「一秒後は未来」

他人のInstagramの投稿を埋め込む際には引用の要件を満たさない限り使用許可が必要

DeNA のキュレーションサイト無断転載問題に関する「まとめサイト迷惑料、インスタグラムは対象外 被害者「なぜ?」、線引き複雑 (withnews) – Yahoo!ニュース」という記事の中に、 Instagram の埋め込み (エンベッド) 機能について気になる記述がありました。

フェイスブックと傘下企業のインスタグラムは、「エンベッドする際の投稿者の許可」について問い合わせたところ、ともに「大きな前提としてコンテンツの権利は利用者が有するもののため、投稿者本人に写真や動画の使用許可をとるようお願いしています」(担当PR会社)と説明がありました。

Instagram の埋め込み機能を用いて自分のブログなどに他人の写真を埋め込む場合には、引用の要件を満たしていない限りは使用許可が必要だそうです。(なお、引用の要件というのは引用する側とされる側に主従関係があるとか、引用するだけの必然性が存在しているとか、いくつかの要件があるのでご自身で調べてみてください。)

確かに Instagram Developer Documentation の「Embedding」には、

You can embed your own content as well as photos and videos from public profiles.

「あなた自身のコンテンツをエンベッドできます」と書かれていますし、

As always, people own their Instagram content, and embedded posts give the proper attribution by showing the username and linking back to the original content on Instagram.

他者のコンテンツの埋め込みについては、「ユーザー名を表示し、オリジナルコンテンツへリンクすることで、適切な帰属を与える」、つまり著作者人格権を保護するための機能を提供しているということだけ書かれています。

また、Instagram の埋め込みコードを取得する際に以下のように「InstagramのAPI利用規約に同意するものとします」と表示されるのですが、

そのAPI利用規約においても、

Licensed Uses and Restrictions: The Instagram APIs are owned by Instagram and are licensed to you on a worldwide (except as limited below), non-exclusive, non-sublicenseable basis in accordance with these terms. Your license to the Instagram APIs continues until it is terminated by either party. Please note that User Content is owned by users and not by Instagram. All rights not expressly granted to you are reserved by Instagram.

太字で強調したように「ユーザーのコンテンツはユーザーによって所有されている」とだけ記述されています。

一方で Twitter の利用規約はどのように書かれているかというと、「ユーザーの権利」の項にて、

ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介して自ら送信、投稿または表示するあらゆるコンテンツに対する権利を留保するものとします。ユーザーのコンテンツはユーザーのものです。すなわち、ユーザーのコンテンツ(ユーザーの写真および動画もその一部です)の所有権はユーザーにあります。

とあるように、Instagram 同様に「所有権についてはユーザーにある」と規定しているものの、

ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、投稿または表示することによって、当社があらゆる媒体または配信方法(既知のまたは今後開発される方法)を使ってかかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示および配信するための、世界的かつ非独占的ライセンス(サブライセンスを許諾する権利と共に)を当社に対し無償で許諾することになります。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。

Twitter が提供している配信方法 (すなわちエンベッド機能やAPIを含む) によるツイートの閲覧に関して無償で Twitter 社や他のユーザーに許諾を与えるものとし、その上で、

ユーザーは、このライセンスには、Twitterが、コンテンツ利用に関する当社の条件に従うことを前提に、本サービスを提供、宣伝および向上させるための権利ならびに本サービスに対しまたは本サービスを介して送信されたコンテンツを他の媒体やサービスで配給、放送、配信、プロモーションまたは公表することを目的として、その他の企業、組織または個人に提供する権利が含まれていることに同意するものとします。ユーザーが本サービスを介して送信、投稿、送信またはそれ以外で閲覧可能としたコンテンツに関して、Twitter、またはその他の企業、組織もしくは個人は、ユーザーに報酬を支払うことなく、当該コンテンツを上記のように追加的に使用できます。

と規定されているように、コンテンツの使用についても許諾するものとされています。しかし、Instagram の利用規約にはこのような記述が見当たりません。

すなわち Instagram が提供している埋め込み機能は、

  • 自分自身のコンテンツを簡単にエンベッドできるもの
  • 引用の要件を満たすかきちんと許諾を得た他者のコンテンツを簡単にエンベッドできるもの
  • きちんとオリジナルコンテンツの著作者について明示することができるもの

だと位置付けることができます。Twitter の埋め込み機能とは規約が異なるようですので、利用する際には注意しましょう。

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著者について

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F.Ko-Ji

Webエンジニアやってます。最近は ドットインストール の開発がお仕事です。その傍ら、個人で Meity電車遅延なう梅酒.in#グラドル自画撮り部 の部室といったネットサービスを開発・運営してます。梅酒と草野球とリアル脱出ゲームが好きです。

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