ウッフィーとは何か?がわかる書籍『ツイッターノミクス』
『ツイッターノミクス』というタイトルですが、解説の津田大介さんが「これはツイッターについての本ではない」と言い切っているように、これはツイッター本ではありません。「ウッフィー」についての本です。
いわゆるTwitter本といわれる書籍はたくさん出ていますが、自分は『ツイッター 140文字が世界を変える』しか読んだことがありません。一方でこの『ツイッターノミクス』は原題が『The Whuffie Factor』であることから分かるように、「ウッフィー」について書かれています。なので買ってみました。
ウッフィーとは?
ウッフィーとはそもそも何かというと、海外の著名ブログ「Boing Boing」にて記事を書いている作家コリイ・ドクトロウ(Cory Doctorow)が自身のSF小説『Down and Out in the Magic Kingdom(邦題: マジック・キングダムで落ちぶれて)』の中で作り出した造語で、インターネットのソーシャル・ネットワーク上などで得られる「信頼」とか「尊敬」とか「評価」といったものを指しています。
ギフト経済では、与えれば与えるほどウッフィーが増える。ここが、市場経済と大きく違うところだ。それから、市場経済では万一に備えて貯金をするけれど、ウッフィーを貯めておくのは意味がない。ウッフィーには、流通することによって価値が高まるという性質があるからだ。
ここでいう「ギフト経済」とは、オンラインの世界の「直接の支払いを前提とせずに製品やサービスが提供される経済」のことです。ウッフィーには「流通する」という貨幣的側面があります。
たとえばAがみんなに喜ばれる事業を始めるとしよう(=ウッフィーを増やす)。それに共感したBが、仲間にクチコミで広めるなどの形で力を貸す(=ウッフィーを使う)。すると、A、B両方のウッフィーが増える。こうしてコミュニティの中でウッフィーが流通すれば、必然的に人と人とのつながりが増えることになる。これこそがウェブ2.0の世界で成功する決め手であり、また本書のテーマである。
Bさんが「ウッフィーを使った」結果「ウッフィーが増える」とあります。お金の場合は使うと減ってしまいますが、ウッフィーは使っても減らず、逆に増えることになります。
しかし、仮にもし何らかの報酬をもらってサクラ的にクチコミを広めたとすると、それがバレた瞬間に炎上し、オンライン上での評判は一気に減少、ウッフィーも一気になくなってしまいます。
今日本ではTwitterがブームになっていますが、個人や企業がオンライン上でウッフィーを増やすために活用するツールとしては何もツイッターでなくてはいけないということはなく、ブログやSNSやその他ネットサービスをうまく利用していけばいいのです。
そして、そのようなソーシャル・サービスを利用するにあたって、どのような態度・心構えを持って活用していけばいいのか、ということが本書では説明されています。
The Whuffie Bank
そんなウッフィーに関して、ひとつ面白そうなサービスがあります。
» The Whuffie Bank – Reputation is Wealth
この「The Whuffie Bank」というサービスは2009年のTechCrunch50でデビューしたサービスで、オンライン上(現在はTwitterとFacebook)でこのユーザーがどのくらいウッフィーを持っているか、それを可視化しようと試みているようです。
TwitterのユーザーIDを入力すると、自分のウッフィーを見ることができます。
↑ 自分は468ウッフィー/monthだそうです。
↑ フォローしているユーザーのウッフィーも表示されます。
まだこれ以上詳しくは見ていませんが、RTをしたりされたりするとウッフィーが増えていくのでしょうか。ちなみに広瀬香美さんは56,332ウッフィーありましたw
ウッフィーの算数 ─ 0と500とどっちが多い?
話が逸れましたが、もうひとつ。本書の訳者あとがきに著者タラ・ハントのブログから面白い記事が紹介されていました。
「大物ブロガーが、ハイハイとすぐに私の本を読んで書評を書いてくれるはず、ないでしょ。みんなものすごく忙しいし、何十冊も書評を頼まれているのだから。20人に献本したとして、読んでくれるのはたぶん一人か二人。で、書評を書いてくれるのは0人ね」
さらにこう続きます。
「私をフォローしてくれていて、私の本を読みたいって言ってくれた人なら、20人のうち半分は読んでくれるでしょう。そのうち半分が書評をブログに書いたとしても、それぞれに100人の読者がいたら、500人が書評を読んでくれることになる。ウェブの世界では、ふつうの人のブログを100人が読むというのは、けっして誇大な数字ではない。そして、0と500では500の方が多いことは、誰にでもわかるでしょう」と。
最初が0になるとは限りませんが、面白い話です。
そういえば、この本を読んでいて内容的になんとなく『グランズウェル』に似てるなと感じました。あわせて読んでおくといいかもしれません。
» タラ・ハント『ツイッターノミクス』村井章子=訳 津田大介=解説|特設サイト|文藝春秋
» レポート:「WordCamp サンフランシスコ 2009」レポート|gihyo.jp … 技術評論社
» Whuffie – Wikipedia, the free encyclopedia
» twnomics ツイッターノミクス (twnomics) on Twitter
文藝春秋
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普遍的な価値(ウッフィー)
読んでおいても損はない
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こうやってレビューを書いたり読むこと自体がソーシャルテクノロジー
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