Kindle向けに出版したい人が知っておいたほうがいいことまとめ
先日 Kindle 向けに「マフモコスナップ」という電子書籍を出版しましたが、これからKindle ダイレクト・パブリッシングを利用して電子書籍を出版しようと考えている人も多いと思いますので、出版前に知っておいたほうがいいと思うポイントを忘れないうちにまとめておこうと思います。
「ローマ字」は英語向けストアで表示されるもの
KDPの書籍登録画面で「ローマ字」という項目があります。この項目は書籍のタイトルや出版社の入力欄に用意されているのですが、ここはローマ字読みのフリガナを入力するのではなく、海外のAmazonストアで表示したい内容を入力します。
↑ こんな風に表示されます。
つまり最初にきちんと英語表記のタイトルも考えておいたほうがいいということですね。
「出版社」は架空のものでも大丈夫
KDPの書籍登録画面ではなぜか「出版者」という表記になっているのですが、この欄はAmazon側では「出版社」として表示される欄で、個人出版なら屋号とかを入力できます。
» キンドルストアで本を出すなら出版社の名義にしたほうがいい – 忌川タツヤのKindleは友達さ!
↑ マフモコスナップでは「fkoji.com」にしています。
ロイヤリティ70%を選択するにはKDPセレクトへの登録が必要だがよく考えること
通常のロイヤリティは販売価格の35%ですが、KDPセレクトに書籍を登録することで70%のロイヤリティを選択できるようになります。ただし配信コストが課せられるようにもなります。(実際の利益がいくらになるかは、価格を設定する画面で確認できます。)
ただKDPセレクトに登録すると、規約により以後3ヶ月はAmazon以外のサイトやストアでそのコンテンツを配布したり販売したりするのが禁止になるので注意。最近日本向けにもオープンした iBookstore にももちろん同じ書籍を登録することができなくなります。
あとKDPのサイトでは「KDPセレクトに登録するとレンタル機能が・・・」という文言が書かれていますが、日本ではまだその機能を使えないので意味がありません。
(追記 2013-08-21) ようやく日本でも「Kindle オーナーライブラリー」という名前でKDPセレクトの書籍を対象としたレンタル機能が開始されたようです。
ちなみにKDPセレクトに登録すると、日数限定で無料キャンペーンを適用できるようになります。
希望小売価格の最低額はファイルサイズによって変わる
主に漫画や写真集を販売したい人に関わってきますが、もし99円の価格で販売したいならファイルサイズを3MB以下にする必要があります。さらに35%のロイヤリティを選択しておく必要もあります。(70%のロイヤリティの場合はファイルサイズによらず250円が最低価格。)
さらに3MBより大きく10MB未満であれば最低小売価格は200円、10MB以上だと最低小売価格は300円となります。詳しくは以下のヘルプを参照のこと。
» 希望小売価格の要件 – Amazon.co.jp:Kindle ダイレクト・パブリッシング:ヘルプ
ロイヤリティにはリフティングチャージという手数料がかかる場合がある
ロイヤリティは月末締めで、その時点で1000円を超えていれば支払い処理がおこなわれます。
» 支払いの受け取り方法 – Amazon.co.jp:Kindle ダイレクト・パブリッシング:ヘルプ
ただし、そのロイヤリティが実際に銀行に振り込まれる際には、銀行によっては「リフティングチャージ」という海外からの送金手数料が2,500円とかそれ以上かかるそうですw
なお「Kindleからの印税受け取りは新生銀行で正解 | 電明書房」にて書かれているように、新生銀行だとリフティングチャージがかからなかったとのこと。
ちなみにAmazonのサポートに連絡すればロイヤリティの支払いを停止してもらえるので、口座の準備や米国での免税手続きが済んでない場合は、支払いを停止しておくことをおすすめします。
» Kindle本のロイヤリティ(印税)支払い手続きは、停止(繰り越し)することができる – 忌川タツヤのKindleは友達さ!
(追記 2013-09-19) 支払いを停止していても源泉徴収はされるようになったそうです。詳しくはこちらの記事を。
» KDPの売上に関する気になる話「Amazonからの支払い止めてても30%課税されるってよ」 | きんどるどうでしょう
発売後も書籍の更新ができるが、更新版のダウンロードは購入者主導
Kindle本は出版後に書籍の内容を修正したりできて便利なのですが、すでに購入した人が更新された書籍をダウンロードするには、購入者が自らAmazonのサポートに問い合わせしないといけないという謎仕様になっています。
» 内容が増補・更新された最新版のKindle本を再ダウンロードする方法 – 忌川タツヤのKindleは友達さ!
サンプルは冒頭から10%のページ数で自動生成される
Kindle本にはサンプル閲覧機能のためのサンプルが用意されていて、これはKDPのヘルプにも書かれている通り、入稿されたコンテンツの冒頭10%を利用して自動的に作られます。
そのため、書籍の冒頭10%をどう構成しておくかは結構重要なポイントとなります。
» サンプル閲覧機能 – Amazon.co.jp:Kindle ダイレクト・パブリッシング:ヘルプ
例えばマフモコスナップはページ総数が56ページなので、5ページのサンプルが作成されています。ただ、今回このことをすっかり見落としていたので、冒頭5ページで書籍の魅力を伝えきれてないかもしれません。
元々紙の書籍として販売されていたらしょうがないですが、そうでないならこの点を考慮した構成にしておいても良いと思います。
iOS向けKindleアプリは入稿前と入稿後でKindle Format 8の表示が違う
今回 iOS 向けの Kindle アプリにかなり苦労させられました。詳しくは以前書いた以下の記事をご覧ください。(固定レイアウト向けですが。)
» iOS向けKindleアプリは入稿前と入稿後でKindle Format 8の表示が違う場合がある – F.Ko-Jiの「一秒後は未来」
リフローの場合にどうなるかは詳しく分からないのですが、固定レイアウトに関しては、今のところは入稿前にKindle Format 8のコンテンツをiOS向けKindleアプリで確認しないほうがいいと思われます。
きっとアプリ側の問題なので、そのうちアップデートで改善されると思いますが、まだ改善されてない感じですかね。。
配信先としてiPhone/iPadが有効になるのに数時間かかる
これも詳しくは以前書いた記事を。
» Kindle向けに出版するときのiOS向けコンテンツの反映の遅さに対する憂鬱 – F.Ko-Jiの「一秒後は未来」
なおこれは書籍を更新した場合も同様です。なので頻繁に書籍ファイルをアップデートしてしまうと、iOS向けアプリで常に購入できないという状態になりますので、注意しておきましょう。
スマホで正常に表示されてもタブレットで正常に表示できるとは限らない
これも固定レイアウト向けですが、詳しくは以下の記事をどうぞ。
» Kindle向け固定レイアウト本をAndroidのタブレットで横向きにしたら真っ白になる場合の製作者側の対処法 – F.Ko-Jiの「一秒後は未来」
Androidのスマホで確認したからといって、タブレットでの確認を怠らないようにしましょう。
書籍内の表紙はアップロードしたものに置き換わる
Kindle本を読んだことがあれば分かると思いますが、最初に書籍を開くと「表紙」が表示されて、さらに次のページにも「表紙」が表示されます。
この2回目に表示される表紙がAmazon側で自動的に置き換えられた表紙で、これはKDPに登録する際にアップロードする画像ファイルが使用されます。
で、固定レイアウトの場合ですが、この表紙ファイルのサイズが書籍コンテンツ側で用意した表紙のサイズと異なっていたりすると、変に拡大されてしまったり、ずれて表示されてしまったりして綺麗に表示されない場合があります。
KDPのヘルプにはアップロードする表紙の理想的な縦横比が書かれてたりしますが、固定レイアウトの場合は、コンテンツ内で使用している画像ファイルをそのままアップロード用にも使ったほうがいいかもしれません。
というわけで…
このように知っておいたほうがいいことがたくさんあって大変そうに見えるかもしれませんが、個人出版の作業は楽しいのでオススメです。(何より自分の好きなコンテンツを作れるという点が。)
なお、KDPや電子書籍まわりの情報は今どんどん増えていっている時期なので、常日頃から情報収集しておくといいでしょう。
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