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2016年07月10日 15:59

もしも人類が一斉に記憶障害に陥ったらどうなる? - SF小説『失われた過去と未来の犯罪』

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タイトルに「過去」と「未来」という単語が入っていたのと、書籍の帯に「SNS」という文字があったので読みやすそうだなと思って購入しました。実際、読みやすかったです。

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もしも人間の記憶が一斉に10分しか保たない状態になったら世界はどうなるか?という内容のSF小説。短めの第一部と長めの第二部に分かれています。第一部は「海外ドラマになったら面白そうだなぁ」と思いつつ読んでいましたが、第二部を読んだら「んー、世にも奇妙な物語かなー。」という感想になりました。個人的にはSFは好きだし人の記憶というテーマにも興味があるので全体的には面白かったのですが、エンディングはなんというか仮面ライダー鎧武の最終回のような、少々理解するのに苦労する結末でした。

最終的な結末は置いておいて、全人類の記憶が10分しか保たない状態になった直後の描き方には目を見張るものがあります。みんな混乱する中でなんとかしないと人類終了の危機に陥るというのは確かにそうで、そういう時に皆がどういった行動を選択するかはなかなか想像できない。第二部で語られている誰かと誰かの記憶が入れ替わったらという様々なストーリーも、どっちがどっちなのか頭を働かせながら読まないと理解できないので楽しいです。

もしも自分がそういった状態に陥ったら、まず自分がある種の記憶喪失になってしまったことに気づかないといけないし、そのことすら忘れてしまうということにも気づかないといけない。なのでその状態をなんとかして忘れないようにしないといけない。似たような設定の話として、寝ると記憶がリセットされる掟上今日子の忘却探偵シリーズがあります。あれはほぼ1日なので時間的余裕があるし、記憶喪失なのは1人だけ。それと比べるとかなり危機的な状況です。

最近はディープラーニングの登場により人工知能周辺の技術が脚光を浴びています。それ以前にすでにインターネット上には膨大な情報が蓄積されていて、それはまさに人類が誰でも利用できる記憶補助装置のようなものです。それらに頼りすぎた将来、人類が記憶喪失になる可能性はゼロではないかもしれません。そのような未来に果たしてわたしたちはこれまで築いてきた文明を守りぬくことはできるでしょうか。

失われた過去と未来の犯罪
失われた過去と未来の犯罪 (小林 泰三)